卓球レポート 水谷隼特集

会場を見渡す コ ー ト に 入 っ た ら ? Q14 ベンチに入って荷物を置いたら、コー トの周り、特に観客席を1回見回すよ うにしています。これは青森山田時代 に吉田安夫先生に言われてから習慣 になりました。吉田先生は「 見ろ、隼。 こんなに大勢の観客がお前の試合を 見に来てくれてるんだぞ」と毎回言って くれました。 そこで僕も「この人たちの期待に応 えられるようにいいプレーをしよう」とい う気持ちになれるので、ベンチが吉田 先生じゃなくなってからもこの習慣は続 けています。 ちなみに吉田先生はそれに続けて、 「これを言うと( 斎藤)清は絶対に勝 つんだ」と付け加えていました。「だから お前も絶対に勝てる」という意味で勇 気づけてくれていたんだと思います。 編集部注 リオ五輪以降、テレビ番組など で飛躍的に露出の増えた水谷 を見ていると、自身の「好感度」 をかなり意識していると思うこと が多々あるが、ここでのコメント は素直に心情を語ってくれたも のだと思う。 相手の表情を見る 試合前の握手の時は必ず相手の目を見るようにしてい ます。相手が緊張していない場合は、しっかりとこちらの 目を見てきますが、緊張している場合は、目を合わせないことが多い ので、そのときの様子で相手の心理 状態を読み取ることができます。こ こで読み取った相手の状態は、トス (じゃんけん)にも生かすようにして います。 編集部注 卓球が対人競技である以上、勝敗は相手のプレーや調子にも大きく左右される。握手など、儀礼的な 行為の中にも、勝つためのヒントが隠されているかもしれない。これはレベルを問わず、今日からでもそ のまま試合に生かせるのではないだろうか。 これは余談だが、国際大会などでは特に、試合前に審判員に印象を良くするために笑顔で握手をする ことを心掛けるという。「 僕はフェアプレーヤーですよというアピールですね。これが結構大事なんです よ。フォルトを取られないようにするためには( 笑 )」と最近陰を潜めていたヒールな一面をのぞかせた。 握 手 の 時 は ? Q15 相手の戦型は 分かっているので、 特に気にしない 相手次第でサービスか レシーブを決める 相手のボールの 重さを確認する トップ選手の場合は、ほとんど相手 の戦型や用具は分かっているので、 用具交換で特に気を付けていることは ありません。一応見るというだけです。 基本的には自分で決めたくないから、ト ス(じゃんけん)は勝ちたくないですね( 笑)。相 手に決めてもらった方が楽なので。 勝ってしまった場合は、サービスかレシーブを選 びますが、相手のサービスがうまい場合は、自分 が先にサービスを取るようにしています。あと、相 手が緊張している場合も、スタートダッシュをかけ るためにサービスを取ることが多いです。それ以外 の場合はレシーブを取ることが多いですね。 コートによっては照明の具合などで、ボールが見 やすい方のエンドを取ることもたまにあります。 僕が左利きだからということもあり ますが、試合開始前の練習はバックハンドか ら始めます。その時に、相手のドライブの威 力、重さを確認するようにしています。対戦し たことのない 相手でも、こ れで相手の実 力がある程度 分かります。 編集部注 編集部注 編集部注 これはトップ選手同士の場合に限られたことだろ う。一般的には、対戦したことのない相手でも、 その用具から戦型や球質などを推測することがで きる。実際にどんなプレーをするのかは、試合が 始まるまでは分からないが、用具に関しても一通 りの知識は身に付けておいた方がいいだろう。 「自分で決めたくない」とは、裏を返せば、サービスでもレシーブでもよい、つまり、ど ちらにもそれなりの自信があるということか。こう考えれば、これも水谷らしい考えだ。 ラブオールの前から試合は始まっている。実力が拮抗すればするほど、こうし た駆け引きも勝敗を左右する大きな要因になってくるのだろう。 自分の感覚を確かめたり、調子を上げることも大事だが、相手の様子や球質 を知ることも同様に大切だ。 用 具 交 換 で 何 を 見 る ? ト ス に 勝 っ た ら 何 を 選 ぶ ? 試 合 開 始 前 の 練 習 は 何 を 意 識 す る ? Q16 Q17 Q18 水谷は試合前の握手の時に相手の 表情を読み取るという 試合直前の練習では相手のボール の質に注目する 015 December

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