卓球レポート 水谷隼特集

マリオ(アミズィッチ)が日本から子供を連 れてデュッセルドルフで練習しているときに隼 (水谷)を初めて見ました。まだ彼が12、13歳 だったと思います。名前も知らない日本人の子 供でしたが、センスが抜群にいい子だなと思っ て見ていました。あのときの子供が隼だったと いうことは後にわかりました。 ヨーロッパの代表的なコーチであるマリオ が、日本の子供たちをドイツで指導するという ことはセンセーショナルなことで、私だけではな く、みんなで注目していたことを思い出します。 隼を初めて見たときに才能を感じていたし、 そのまま順調に伸びていけばいつかは世界の 舞台に出てくるということは見えていました。た だ、そのときは隼が世界のトップ10や5に入る ということまではわかりませんでしたが、30位 や20位には間違いなく入ってくるだろうという 印象を受けたことは覚えています。 隼のプレーは個性的で、独特の技術と戦術 をつくり上げています。センスのいい選手はほ かにもいますが、それだけでは隼のような選手 にはなれないので、彼はとても優れた選手だと 思っています。 私と隼は同じ左利きの攻撃型ですが、プレー スタイルは異なります。私のプレーは卓球台と の距離も近くて、自分のボールの質で得点を 奪いにいくスタイルですが、隼は自分から攻撃 して得点を奪いにいくだけではなく、守備的な プレーでポイントを取ることができます。前で も後ろでもプレーできるので、それは私と大き く違う部分だと思います。 隼と試合をするときは、2010年の世界卓球 モスクワ(団体戦)で負けたことを思い出しま す。ですので、彼と試合をするときは「気を引き 締めていかなければならない」と言い聞かせて コートに入っています。 卓球を離れてプライベートでの接点はそれ ほどありませんが、フェアプレー精神という部 分で似たものを感じていますし、2人とも小さ な子供がいるので、機会があれば赤ちゃんの 話でもしたいですね。 ティモ・ボルが語る水谷隼 046 J anua r y

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